パパラッチから考える次世代SNSのあり方

先週の火曜日、5月25日の出来事。

午後にアプリストアのランキングが更新される時、そこに新しいキングが誕生しているだろう

キングが登場した

王座についたのは、新しいSNSアプリ、Poparazzi(パパラッチ)。

名前からも伝わるとおり、友達の写真を撮るアプリ。撮った写真は、自分のフィードやマイページに投稿するのではなく、友達のマイページに投稿する。

上のスクリーンショットはパパラッチ共同創業者のページで、ここに写っている彼の写真は全部、彼の友達が撮っている。 

パパラッチを開くと、最初の画面はカメラの撮影モードになっている。

通常のカメラアプリならば、ここにカメラを反転させるボタンがあるのだが、パパラッチにはそれが見当たらない。すなわち、iPhoneの背面カメラは使えるが、インカメが使えないので、自撮りができないことを意味する。その理由については、運営ブログで説明がなされている。

The Anti Selfie Selfie Club

この10年で、私たちのフィードは、編集された、一見すると何の苦労もない、完璧なもので埋め尽くされるようになりました。自分のことを投稿するとき、私たちは自然と、人生で最もエキサイティングな瞬間だけを共有しようとします。最高の自分を表現しようと、写真を過剰に編集したり、気の利いたキャプションを書いたりします。その結果、誰も勝てない、アテンションを奪うための競争になってしまいます。スクロールすればするほど、自分は彼らに匹敵しないと感じるため、またこのサイクルは続くのです。

しかし、人生は、撮影し、共有する価値のある、完璧ではない、あるいは完璧な、多くの瞬間で構成されています。例えば、友人がブリトーを食べているのを見たり、大切な人が魅力的に映っている瞬間など。しかし残念ながら、完璧な生活をしているように見せないといけないというプレッシャーから、こうした瞬間を愛する人たちと共有することができません。

セルフィーはドアの前に置いていきましょう。

Poparazziは、完璧でなければならないというプレッシャーをなくすために作られました。そのために、自分の写真を投稿することを禁止し、一緒にいる人に重点を置くようにしました。Poparazziでは、あなたは友人のパパラッチであり、彼らはあなたのパパラッチなのです。

「インスタ映え」から「インスタ疲れ」。それに対する答えの一つが、自撮りを無くし、他撮を中心にすえたパパラッチというわけだ。

よくよく考えると、自分で自分の決め顔をSNSに投稿するのは「私を見て!」と言っているようで、少し歪かもしれない。それよりは、友達が撮って投稿する方が自然とも言える。自撮りはタイムラインに連投しづらくても、パパラッチは他撮なので、何枚でも連投できてしまう。

TikTokでバズっているイケメン/美女の動画は、友達が撮っているというパターンも多い。昔流行ったミーム「こっちを見て」なんかは初期の典型例かもしれない。

最初は他撮から始まり、後に有名TikTokerになる人も多い。

また、最近だと友達を紹介していくミームもとても流行っている。

Zenlyのデザインのトップの人いわく、

ソーシャルな写真タグ付けはフェースブック初期の柱だった。コンシューマ領域の人たちが忘れてしまっていたことに驚いた。

パパラッチはフェースブックの全盛期のように感じる

自撮りから始まった10兆円企業

自撮りを禁じるパパラッチ。一方で、逆に自撮りによって成長を遂げた企業もある。今では10兆円企業のスナップチャット。10兆円というのは約$100Bで、ユニコーンの100倍の大きさだ。今でもスナップチャットは、開いて最初に出てくる画面はセルフィーの撮影モードだ。パパラッチとは正反対。

スナップチャット創業本にはこのように書かれている。

レギー(Snapchatの初期メンバー)がスナップチャットのアイデアをひらめいた頃には、テックの世界はインカメが普及しはじめていた。2011年10月14日、アップルはインカメを搭載した2台目の携帯電話である「iPhone 4S」を発売しました(同じくインカメを搭載していた「iPhone 4」をより手頃な価格帯にしたもの)。Appleのインカメは、主にビデオチャット機能であるFaceTimeのためのものでしたが、写真にも使われ始めていました。

(中略)

2011年10月、エヴァンは、Snapchatのユーザーをモニタリングするために使用していた分析ダッシュボード「Flurry」を開き、カリフォルニア州オレンジ郡で新規ユーザーが登録していることに気づいた。また、彼らのアクティビティが、午前8時から午後3時の間に急増していることに気づきました。エヴァンの母親は、エヴァンの高校生のいとこにSnapchatのことを話していました。彼女とその友人たちは、学校で配布される、FacebookがブロックされているiPadにアプリをダウンロードした。彼らは、授業中にメモをまわすためにこのアプリを使い始めました。

その秋、オレンジ郡とロサンゼルスのさまざまな高校、小さなクラスター内で流行し始めました。そして、これらの高校生がホリデーシーズンに家に帰ると、多くの生徒が(クリスマスプレゼント用の)ストッキングの中にインカメ付きのiPhoneを見つけました。ティーネージャーたちは、インカメで自撮りをして、それをSnapchatで送り合い、自分の顔の画像を使って会話をするようになりました。12月から1月にかけて、Snapchatのユーザー数は10倍に増加し、デイリーアクティブユーザー数は2,000人強から2万人を超えました。スナップチャットは、メモを渡すためのギミックから本格的なコミュニケーションツールへと脱皮し、多くのティーンにとってテキストに代わるものとなりました。

このようにスナップチャットはインカメの波に乗り、自撮り、セルフィーの文化を作り上げた。ただそれは、多くの人がいま想像する自撮りとは少し違うものだった。

エヴァン・スピーゲルが「スナップチャットとはなにか?」という動画で説明している。

エヴァンは「Photo = Memory」、「Photo = Talking」と書かれた紙を見せ、次のように語っている。

先日、何人かの友人と話していたとき、彼らはみんな自分たちの子供について同じ話をしていました。彼らは、自分の子供たちが1日に何億枚もの写真を撮っていることに気づき、とても困惑していました。親が撮らないようなものを撮っていて、子供たちは自分がどんな風に写っているかなんて気にもしていないようでした。この話はSnapchatとは何かを説明するのにとても良い方法だと思いました。スナップチャットは、写真の変化に関係しています。歴史的には、写真は人生の重要な瞬間を大切に保存するために使われてきましたが、今日では、携帯電話の出現や、カメラが繋がっているという考えによって、写真は会話のために使われるようになっています。つまり、あなたの子供が、あなたが写真を撮らないようなものを何枚も撮っているのを見たら、それは写真を使って会話をしているからなのです。だからこそ、スナップチャットで毎日たくさんの写真を撮ったり送ったりしているのだと思います。この変化を理解する最も良い方法のひとつは、ソーシャル・メディアの進化を見ることです。ソーシャル・メディアが始まった頃は、デスクトップ・コンピュータをベースにしており、蓄積が目的でした。パーティーで1,000枚の写真を撮り、お気に入りの100枚をインターネットにアップロードして、友人たちがそれを見てコメントするというものでした。今では、携帯電話は、自分がどこにいて、その瞬間にどのように感じているのかを誰かに伝え、瞬間的に表現するということに大きな力を与えました。これは、アイデンティティに関係することなので、とても重要です。アイデンティティは、ソーシャル・メディアの中核をなすものだからです。「蓄積」とは、「アイデンティティは、私がこれまでに行ってきたことのすべてである」という考え方です。つまり、これまでに行ってきたことの写真がすべて揃っていて、それがあなたという人間だとします。しかし、瞬間的な表現はそれを変えてしまいます。瞬間的な表現は、私のアイデンティティは「今の私」であり、私はこれまでに行ってきたすべてのことの結果であるとは言えますが、私はその蓄積ではありません。ここで、スナップチャットの3つの画面を見せて、アプリがどのように機能するかを説明するのがいいと思いましたが、これは先ほど説明した2つのことの結果です。スナップチャットはいつもスナップで始まります。ワードプロセッサーがいつもカーソルの点滅で始まるのと同じように考えてみてください。スナップチャットでは、会話を始めるためには写真を撮る必要があるので、常にカメラから始めます。

写真はテキストの代わりに使うということ。これができるのは、クローズドなプレイベート・ネットワークで、写真も消えるから。

日本でスナップチャットが最初に広く認知されたのは、スナップチャットの犬フィルターによるものだったため、スナップチャットは加工アプリのような印象を持っている人が多いと思う。

加工フィルターはスナップチャットが後々に発明したギミックの一つに過ぎず、スナップチャットの本質は、写真を通してコミュニケーションをすることだった。日本の若者がLINEを送るような感じで、アメリカのティーンはセルフィーを送り合っていた。

インカメ越しのネット世界という本の一部を紹介した、「盛りたいだけ」はもう古い?自撮り文化がもたらす新しいコミュニケーションという記事で、りょかちさんが次のように言っている。

「自撮り」「セルフィー」が若者文化として注目されて久しい。ガッキーこと新垣結衣ちゃんがセルフィー風の写真でNYLONの表紙に登場したのは2014年12月号。実はすでに2年前なのだ。

しかし2年の月日が経った今もなお、自撮り文化は進化し続けている。サイバーエージェントの藤田晋さんが、「2016年は動画元年」と語ったけれど、「観る」動画はもちろん、「SNOW」や「Snapchat」など、「撮る」文化においても2016年は「動画元年」だったのではないかと思う。

いまや、SNSのタイムラインを見れば、可愛い女の子たちが犬やら猫やらに変身して手を振りながら微笑んでくれる動画で溢れている。自撮り文化はこの2年間、少しずつ進化しながら、"新しい文化"であり続けているのだ。

2016年現在の日本で、自撮り・動画撮影アプリでメインストリームと言えるのは、「SNOW」「Snapchat」あるいは「BeautyPlus」「Camera360」あたりだろうか。共通した機能は顔の上に動物などのエフェクトをかけられる「フィルター」や、目を大きくしたり、肌をきれいに見せたりできる「加工」など。つまりは自分をより可愛く見せる「盛る」ための機能である。

かくいう私も、「盛る」自撮りをテーマに取り上げられることが多い。取材や、リアル世界で会った人に必ず聞かれるのは、「どうやったら盛れる写真が撮れますか?」「今一番盛れるアプリは?」といったことだ。

自撮りといえば、「盛り」。いつだって自撮りが取り上げられるときには、別人のように撮影できるテクニックや、その魅力に取り憑かれたように自撮りをする女の子たちが注目されがちである。

そして、インカメ越しのネット世界の本編では、「自撮り= 盛りたいだけ」と捉えるのは古く、自撮りは新しいコミュニケーションだという話が続く。

Snapchatを使い始めたとき、「これはもうほんとうにしゃべっているみたいだ」と思った。とりとめもない、しょうもないことを動画や画像で送り合う。テキストにしたら、意味がなさすぎて成立しないかもしれない。だけど、なんとなくこの雰囲気や誰かと一緒にいることを伝えたい。それは、週末に恋人に対してだらだらと話す近況のようなものによく似ている気がした。そして、「こんなテキスト化出来ない雰囲気を遠くにいる誰かに届けられるなんて、革命だ!」とも思った。

今や、私たちが遠くにいる大好きなあの人に伝えらえるものは無数にある。「すき」とストレートに送るテキストデータはもちろん、「これまじうめー!」という思い出送る画像でーたもオッケー。髪をうまく巻けた日にその人に会えなくても、風に揺れる髪の毛をSnapchatの犬フィルタで顔を加工して送ってみることも出来る。2017年の私たちは、いろんな気持ちを遠くまで飛ばすことが出来る。さて、多くの友達とどんなことを話そう。自由なデータの交換をもっともっと楽しみたい。

一概に自撮りが全て悪なわけではなく、スナチャのセルフィーは、単にコミュニケーションのツールとしての自撮りだった。

フィルターやエフェクトなどが流行り、なんでもかんでも盛ること、それがインスタの大流行とあいまって、完璧なモノをアウトプットして承認欲求を満たそうとする。「完璧な私を見て!」と不特定対数にアピールをするような自撮り、というところまで来ると、はたから見ると少し不健全に思えてくる。

次世代のSNSを作る動き

Dispoに投資をしたReddit創業者のアレクシスさんは、ここで次のように語っている。

私たちは、ソーシャルの第一波を経験したばかりです。Z世代は、過去10~15年の間にこれらのプラットフォームを使ってデジタルネイティブに育った世代です。そして、これがソーシャルの第2の波をもたらしています。その多くは、第1の波と私たちが犯した過ちに対する反応です。776(ファンド)で行った最初の投資はDispoという会社で、基本的にはInstagramの代わりになるものでした。夜な夜な友達と1000枚もの写真を撮って、フォトショップのように完璧に仕上げて、完璧な1枚を選んで投稿する代わりに、ジェネレーションZはただ写真を撮って、それを見ないようにしたいのです。翌日に現像されるまで、これらの写真を実際に見ることはできません。つまり、その瞬間を生きているのであって、携帯電話の中で生きているわけではないのです。そして、翌日にはオンラインで友人たちと交流するのです。2021年の今、写真共有アプリをどう作るかを考えるなら、実際には気にしていない人からの「いいね!」を追いかけるようなものではありません。私はこの第2の波に期待しています。なぜなら、より思慮深く、より健康的で、より楽しく、より良いものになると思うからです。私たちは十分に失敗し、十分に学びました。新しい世代は、私よりもずっと賢い。そして、自分たちが生きてきたからこそ、より多くのことを知っています。彼らは20代前半ですからね。彼らは、より賢明な視点を持っています。

同じ過ちを繰り返さないこと。

アレクシスさんは、それをファンドのミッションにも据えています。

もちろん、この流れは今に始まったことではなく、Snapchat、HousepartyDiscord、(結果的にはFortniteなども)様々なプレイヤーが既存のSNSに疑問を投げかけ、挑戦をしてきた。ただ、2020年代はその動きが加速しそうな気配もなんとなくしている。

パパラッチに話を戻そう。

高いプロダクトクオリティ

とにかくみんなをうならせたオンボーディング。動画と振動を使いながら一気にテンションを上げていく。

オンボーディング直後のレビューも、興奮した勢いで星5を押してしまう。

電話帳同期後に、既に登録されているアカウントの自動フォロー。

BitCloutのように、登録前のユーザーページも作る仕様。

Search画面は、めちゃくちゃ使われていて流行っているアプリ感を醸し出すことができる

誰がその人のパパラッチとして一番活躍したかを示す”Top Poparazzi”

フォロワーの数が見れないというのも、従来のSNS

いろんなとこにある友達インバイトの導線

シェア後のウォーターマーク(ロゴ表示)

アプリ内プロフィールリンク

DiscordやSlackのような絵文字リアクション。(一人につき何個でも押せる)

コメントができないので、タグ付けされたら毎回返事をしないといけないプレッシャー、めんどくささもない。絵文字で簡単に反応ができる。

連続して撮影すると簡単にGIF動画が作れる。インスタ初期のフィルターほどではないかもしれないが、一つのユニークなツール・武器になりそう。

このように、とても仕上がりの高いアプリになっているが、コンセプトやプロダクトがどれだけ良くても、ディストリビューション戦略がないと厳しい時代。友達がいないと使えないソーシャルアプリは特にそうかもしれない。

アプリストアで急上昇したきっかけ

パパラッチは正式リリース日に、50万人がアプリをダウンロードした。これがどのくらい凄いのかというと、2010年にリリースされたインスタグラムは初日に2.5万人がダウンロードし、この華々しいローンチは後々も語り継がれたほど。パパラッチはその20倍。

パパラッチはアプリストアの予約注文の仕組みを活用してこの数字を達成している。予約注文というのは、アプリストアでアプリの概要などは見れるが、リリース日まで実際にダウンロードが出来ないというものだ。(これは2017年からある仕組みなので、実は真新しいものではない。)

上記のページで、「入手」を押して予約注文をした人には、リリース日に通知が行き、アプリも自動でダウンロードされる。

最初、予約注文制は面白い仕組みだと思ったものの、実際にアプリの存在に気づき、事前予約をするのは、TTYL社のアプリストアページを定期的にチェックしているプロダクトオタクか、TTYLチームの知り合いくらいだろうと思っていた。

まさか事前予約のウェイティングリストに50万人が控えていたとは想像だにしなかった。

どうやって集めたのか?TikTokを活用している。

TikTokを使ってto Cアプリを宣伝するのは定石になりつつある。ご存知のとおり、TikTokは影響力がない無名のアカウントでも、一定数の人に見られ、あわよくばバズる可能性も秘めているから。

最近の例だと、チャットアプリのHonkがTikTokアカウントを作り宣伝し、バイラルさせることに成功した。

上の方で紹介した、Reddit共同創業者のアレクシスさんが、Dispoの次に投資したアバター通話アプリ「Its’me」もTikTokでバイラルした。

パパラッチも運営アカウントを作り、宣伝動画をたくさん投稿している。

パパラッチはもう一歩踏み込み、Z世代クリエイターにおそらく対価を支払い、パパラッチを激推しする動画を投稿してもらっている。

ハッシュタグに「#Add」や「#Brand Deal」とあることから、これはPR案件、企業案件であることが分かる。(多くのパパラッチ宣伝動画にはこのようなPR案件であることを示すハッシュタグが付いていなく、気づくまでに時間がかかった。)

中には、400万人ものフォロワーがいて、認証マークが付いているクリエイターもいたりする。

パパラッチを宣伝するためだけにTikTokアカウントを作っている人もけっこういた。

動画からプロフィールに行かせて、そこにアプリストアのリンクを載せ、予約注文が積み上がる。

TikTokでなんだかバズっていて、既に使って楽しんでいる人たちがいる一方で、簡単には手に入らないアプリ。Clubhouseの招待制の効果とも似ている。

期待を最大限高めてからリリース。

リリース日には、「ついにきた!!待ってた!!」と投稿する一般ユーザーらしき人も多く見受けられた。

リリース日に予約注文の大量の自動ダウンロードを経て、アプリストアで1位になり、さらに話題になる。

このリリースタイミングも、慎重に時期を見計っている。TTYLチームは元々設定していたリリース日を何度も延期している。3月31日→4月30日→5月15日→5月25日、という風に。きっとワクチンの普及状況に合わせている。

ちょうど今アメリカではワクチンは誰でも受けられて余っている状態にあり、むしろ受けたくないという人にどうやって受けさせるか、というのが行政課題になっていると現地の人から聞いた。

巣篭もり需要を取り込んだのがクラブハウスならば、コロナ明けの最初の解放と自由、友達と会って遊びまくるタイミングをとらえようとしているのがパパラッチ。

TikTokの宣伝動画でも、「この夏のマストアイテム」「この夏のお供」というブランディングをしている。

とにかくなにからなにまでレベルが高い。

誰が作っているのか

23歳のAusten Ma、25歳のAlex MaというZ世代な起業家。

  (画像はForbesより引用)

彼らが作ってきたプロダクトで一番有名なのは、社名にもなっている音声通話アプリTTYL(Housepartyの音声版)

そのあとはHonkのように、チャットのテキストがリアルタイムで可視化されるTypo、最近だとClubhouseの大学生版CampusFMや、Yearbookというアプリをリリースしていた。

ひたすらSNS、それも友達と繋がる系の王道SNSを作り続けているチーム。トライアンドエラーを重ねてどんどんレベルが高くなっている感じがする。

誰が投資している?

プロダクトハントのRyan Hooverなどから$2Mのシードラウンドを過去に調達。

また、今回アプリストアで急上昇後に、Friendster、Twitter、Twitch、Instagram、Snapchat、Discordと、数々のソーシャルに投資をしてきたBenchmarkが投資しようとしていることも判明した。バリュエーションは$135M、調達額は13.5M USD (10%)との報道が出ている。参考までにDispoのバリュエーションは200Mで20M(10%)、Clubhouse初期のバリュエーションは100Mで12M(12%)。

インスタの承認欲求文化に逆らえるのか

パパラッチはフォロワーの数やいいねの数が見えず、写真に対してコメントをすることもできない。

これについて面白いツイートをしている人がいた。

Poparazzi(やDispo)に欠けているもの...そして、SnapやInsta、TikTokのような成長が見込めない理由...それは、「私たちの価値を量的に可視化する」という、他のものが中毒性を持つ理由を取り除いたり、制約したりしているからです。

それこそが、人々が欲しがり、継続的に戻ってくる理由なのです。肯定(または失望)のフィードバック・ループ。人とのつながりや、真に見られたり聞かれたりする目的を装った、「いいね!」や「ハート」。(私はこれに完全に参加しているので、これは批判ではありません)。

醜い真実は、ソーシャルメディアのプラットフォームは、私たちをクリックとスクロールの残念なパターンに陥らせ、私たちもそれを欲しがったときに、最も効果を発揮するということです。

ですから、そのようなインセンティブを排除し、そのニーズを満たすことができなくなったとき、それを満たすことができるものに対して、どうやってパフォーマンスを発揮できるのかがわかりません。それは、サワー・パッチ・キッズをブリュッセル・スプラウトに変えるようなものです。私たちは、ソーシャルメディアという砂糖に依存しています。

砂糖を抜いて、なに、青物を食べる?作ることを目的に作るのか?それは、最も成功する多くのプラットフォームの目的ではありません。次の光り輝くソーシャルメディアのアプリは、他のアプリと同じように砂糖の多いリワードを提供するだろう。

ネットフリックスのSocial Dilemma / 監視資本主義が警鐘を鳴らしているように、お菓子や砂糖は取りすぎるとどうやら体に悪いらしいというのはもうみんな分かってきた。デジタルデトックスの考え方も普及している。

だから、みんな青汁を飲もうぜ!となり、青汁由来のSNSを開発しているのが今かもしれない。ただ、頭では分かっていても、体で実践できるかは別物かもしれない。お菓子やコーラは美味しいし、無くなるわけではない。僕もお菓子とコーラ大好き!

ここ数年、いいね数の表示を無くす方向に行きかけていたインスタも、この5月に、いいね数の表示はユーザーが選べるという仕様にし、結局回帰しつつある。

インスタのトップの方がツイッターやブログで表明している。

私たちの望みは、インスタグラムのプレッシャーを減らし、いいねの数はなく、友達だったり、何にインスパイアされるかにフォーカスできるようにしようとしました。ただ、人々がどのようにインスタグラムを使うか、人々がインスタグラムに対して抱く気持ちはあまり変わりませんでした。誰かの健康・幸福を大きく変えるものでもなかったです。

皆さんや専門家の方々から、「いいね!」の数が表示されないことが有益な人もいれば、迷惑な人もいるという意見をいただきました。特に、「いいね!」の数は、トレンドや人気を知るために利用されているので、選択できるようにしています。

インフルエンサー・ドリブンなステージパフォーマンスメディアから、スナップチャットのような親しい人とのソーシャルを追求したようだが、インスタはやっぱり両方、ソーシャルでもありメディアでもあって、これからもそうあり続けるのかと思う。

何かしらのコンテンツを投稿して反応してもらうという従来型のSNSはどうしても、ある程度は承認欲求を満たすようにする必要があるのかもしれない。

現にパパラッチも、動画ごとのView数、プロフィール画面のView数は表示させていて、投稿のプレッシャーを無くすという観点では少し矛盾しているが、これも仕方ないのかもしれない。このへんの塩梅は運営側も今後模索を続けるに違いない。

(一方で、ゲームだったり、通話ベースのパラレルやYay!なんかは、放課後に友達と一緒にサッカーしたり、ゲームしたり、電話するような性質のものなので、本来のソーシャルに近しく、承認欲求を排除しても成り立つのかもしれない。)

パパラッチは流行るのか?

パパラッチは次のインスタになるのか、それとも近い将来、通知をそっとオフにされてしまうのか。

アプリストアで連日ランクインしているので、既に流行っているとも言えるが、それは上記のグロースハックに起因するところが大きい。なので、本当の意味でProduct Market Fitを迎えているのかは分からない。

言い換えると、ティーンがパパラッチ上で一定数以上の友人と繋がることでソーシャルグラフを築き、毎日開くようなアプリになっているのか、友達の写真を撮ろうと思った時に、第一想起がインスタのストーリーズではなく、パパラッチなのか、そしてそれが続くのか、が今のところ未知数。

ただ、アプリストアで予約注文を積み上げていく前に、彼らはテストフライトを使ってティーンのコミュニティにプロダクトを届けている。Searchタブでフィーチャーされている投稿もこのベータテスターから来ていて、彼らは定期的に投稿しているように見られる。

少なくともDispoとかと比べると、ティーン層に一定数使ってもらえているように見える。

テストフライトも早々に上限の10,000人に達している。

一方で、穿った見方をすると、Searchタブはアクティブに使ってくれている一部の人だけを特集するトリックかもしれないし、テストフライトも、シリコンバレーのテック/プロダクト界隈も招待しているので、ティーンがどのくらいの割合を占めるのか分からない。TikTokでGen Zに受けているように見えるけど、宣伝をしているけど、本当に刺さっているのかは分からない。

いずれにせよパパラッチのチームは「既にGen Zの間でめちゃくちゃ流行っている」という印象を作り上げるのがとても上手に見える。実際にめちゃくちゃ流行っているのかもしれないけど、仮にそうじゃなかったとしても、10億円を超える資金調達にも成功しそうで、後追い的に、PMFさせていく可能性もある。(あるいは既にPMFを確認できているからこそ、大きく勝負に出ているという見方もできる。真実は分からない。)

日本はコロナで積極的に人に会えるステージではないのでまだ早く、あとは日本の高校生のインスタStoriesは既にAuthenticな楽しい投稿が多い。社会人の僕がフォローしているアカウントのStoriesとは全く違くて、同じプロダクトとは思えないくらい。インスタのタイムラインはまだしも、Storiesをリプレイスするのは至難の技かもしれない。

またこれは日本人特有かもしれないが、友達の写真を投稿するときに躊躇してしまうという声も聞いた。

スナップチャットのマーケティングのトップの人がこんなツイートをしていた。

人は自分のアイデンティティを信じられないくらい大切に扱っている(特に、見た目や、誰と一緒にいるかに関連することは。)アプリで50人など一定数の友達を超えた時に、うまく機能するとは思えない。

アンチであるわけではない。ただ私は、誰が一番タグ付けされているか?誰が誰と遊んでいるか?という人気を競うコンテストのファンではない。それがあたかもプライベートで、Authenticで、本当の自分でいられるかのように描写されている。

シェアされうるものは、友達が、あなたがどう写りたいと思っているかという想像の範囲に限定される。

誰かがあなたが、友達、家族、同僚に見られたくない、酔っ払った写真を投稿することを想像してごらん。昔のフェースブックタグと同じように。あなたのプロフィールのコンテキストが崩壊してしまう。

それに対して、同じくスナップチャットのプロダクトデザインの人がこんなリプを。

自分のアイデンティティをどれだけ大切にしているかは、アイデンティティが登場する場所の文脈による。インスタはプレッシャーを上げるが、パパラッチのフォーマット(生)はその逆。

人々は、24時間で消えない、自分と友達の加工されていない写真のフィードが欲しいだけではないか。

友達があなたの写真を撮るとき、あなたに何人の友達がいるかを知りえないし気にしない。見ている方も、あなた自身が投稿したわけではないことを分かっているから、期待値やプレッシャーはない。

一緒にいることを自慢できるほど人々はクールじゃない。

酔っ払い写真の例は同意する。(パパラッチのβテスト版は)最初はタグ付けを承認しないといけなかった。どこかしら、みんなハッピーな中間地点に戻ってくると思う。今はグロース・ハックをして(拡大しようとして)いるに過ぎない

クラブハウスの時と同様に、賛否両論あり、TTYL運営もいろいろ考えているに違いない。

今後どうなっていくのか楽しみにしたい。

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(おわり)

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